【The era of Koizumi】Satoshi Kamata/【Эпоха Коидзуми 】Сатоши Камата/『コイズミという時代』鎌田慧고이즈미 준이치로小泉純一郎⑫
衆参国会議員の9割以上が賛成した意味
憲法99条に照らしても内閣不信任は当然
有事三法は、日本が何ものかによって侵略されるという、自民党、民主党の2代目、3代目議員たちの被害妄想が、ついに形となってあらわれたものだ。これによって、日本国憲法が掲げる平和主義の精神やいままでの戦後政治が培ってきた歯止めが、全部かなぐり捨てられた。平和の思想を世界にひろめるどころか、「武力攻撃が予測されるに至った事態」で海外出動できるという、戦争宣言である。
パーチャルな想定で法律をつくり、現実に民衆の支配が強化されていく。憲法は、国民が守るべき法の総元締めであり、憲法99条には、天皇および国務大臣、国会議員、裁判官や公務員などが、「憲法を尊重し擁護する義務を負う」と定められている。有事三法が憲法違反なのはあきらかで、本来ならば、そっこく小泉首相以下内閣は不信任されるべき事態なのだ。
ところが有事三法は与野党の衆参国会議員の9割以上の賛成によって成立した。信じがたい蛮行である。これで、国会が大政翼賛会化し、日本の議会制民主主義は死んだといっても過言ではない。憲法をあきらかに否定している法律に賛成した議員は、政治家としての権利と義務を放棄したのである。成立までの国会審議は、黒を白といいくるめるウソっぱちを繰り返していたにすぎない。
「政権担当能力を示す」とは何か
法成立の経緯を見ると、与党を組んでいた自民・公明・保守の議員たちは、本気で戦争をやるつもりか、と思わざるを得ない。最終的に賛成した最大野党の民主党も同罪である。本来ならば、このような政権に反対し不信任を要求するのが、野党の役割のはずだが、この党は可決成立のずっと前からまったくあてにできなかった。
NHKの討論番組では、民主党の鳩山由紀夫代表が「平時に緊急事態(有事)法制の基本的姿を作り上げていくため、我々も議論に参加する」と発言し、「安全保障基本法」の制定に前向きなことをしめしたという(『読売新聞』02年1月7日)。与党とおなじ穴のムジナだった。
鳩山のような旧自民党グループは、国民の権利や平和にたいする意識が低い。自民党が二つに割れたといっても、双方ともに腐ったまんじゅうであることに変わりはない。ところが代表が非自民出身の菅直人にかわってから、有事三法は修正案提出という形になった。「政権担当能力を示す」ためだという。有事三法に反対して米国の機嫌を損ねると首相になれない、と恐れたのだ。
村山富市が首相になったときの日本社会党が、「政権担当能力を示」して、自民党政府に飲み込まれ、解党寸前の憂き目をみたのとまったくおなじ構図である。
旧民社党と旧自由党系が野党にいる問題点
しかし深刻なことに、有事三法に賛成することが、反対するよりも党内をまとめやすくなると多くの議員が考えていたことだ。実際、115人の全議員が出席し、便所に逃げた1人以外は全員賛成したどこが「野党」か。これはトロイカの木馬というべき、旧民社党系の反動議員が、菅執行部を突き上げたからともいわれる。出世主義者の菅代表は、妥協を重ねれば、総理も夢じゃない、との妄想にとり憑かれていたのだろう。
旧民社党議員は、鉄鋼や造船など軍事産業や自動車業界を基盤にしているものが多かった。それと石破戦争オタクと仲のいい前原誠司などのような、松下政経塾出身の若いウルトラ議員が、旧社会党議員をまるめこんで、戦争OK法案を成立させたのだ。03年11月に、民主党に合流した旧自由党にいたっては、国民の権勢をさらに圧迫するような有事法制の強化に言及していた始末だ。自民党内では野中広務などが時期尚早論を唱えていたが、反対勢力としての力はもはやなかった。
*Suomiフィンランド語→Seiji Maehara (前原 誠司(京都府出身) Maehara Seiji, s. 30. huhtikuuta 1962) on Japanin entinen ulkoministeri. Hän astui virkaan 17. syyskuuta 2010 ja toimi siinä maaliskuuhun 2011 asti. Hän erosi tehtävästä saamastaan laittomasta lahjoituksesta nousseen kohun vuoksi. Hänen edeltäjänään ulkoministerinä toimi Katsuya Okada.[1][2] Maehara oli Japanin demokraattisen puolueen puheenjohtaja 17. syyskuuta 2005 – 7. huhtikuuta 2006.
*공익재단법인 마쓰시타 고노스케 기념지재단 마쓰시타세이케이주쿠(公益財団法人松下幸之助記念志財団 松下政経塾, The Matsushita Institute of Government and Management)은 마쓰시타 전기산업(지금의 파나소닉)의 창업자인 마쓰시타 고노스케에 의해 1979년 설립된 정치학교이다. 지금까지 국회의원, 지방자치단체장, 지방의원 등의 정치가를 중심으로, 경영자, 대학교원, 언론관계자 등 각계에 다수의 인재를 배출하고 있다.
この愚劣を許した背景には、『読売新聞』や『サンケイ新聞』などを中心とした、右派ジャーナリズムの憲法攻撃もある。彼らはいかにも日本国憲法が古いものであるように言いはやし、世論は誘導され、軍事大国化が進んだ。
韓国の度量と日本国民の抗議行動
こうした状況に、タカ派の小泉首相はご機嫌だろうが、アジア全体を不安にさせる軍国化が、ますます日朝の国交正常化に悪影響を与えていることの責任を、どう感じているのだろうか。韓国は、北朝鮮と平和的に折り合いをつけるために腐心している。彼らの平和にむけた粘り強い行動は、日本とは対照的だ。大衆の悪感情に火をつけ、軍国化を進めるだけの小泉内閣とは、月とスッポン、度量と責任感がちがう。
日本の危機もついにここまで来た。最初の閣議決定を受けて市民運動がようやく動きだした。衆議院議員会館前での抗議行動が起こり、デモ行進もはじまった。法律が成立したいまからでも遅くはない。どれだけ運動がひろがりをもつかにかかっている。不況により生活の安定も、「経済大国」としてのプライドも失った日本ではあるが、軍事強化によって、虎の威を借りた軍事大国になってはいけない。むしろこの不況のなかから、小国としての立国の道を探すべきだ。
第9章 原発推進は前も後ろも右も左も全部不正
わたしが原子力発電所(原発)を批判するのは、そのすべてが不正だからである。コスト高なのに安いと強弁する建設過程であれ、危険そのものを安全と言い抜ける運転時であれ、大惨事寸前を「異常なし」と発表する事故対応であれ、すべて一貫してウソである。世界中の秘密と不正を集めると原発推進となる。あとはカネでの買収。しかもこの世でもっとも危険でもっとも使い道のないプルトニウムを大量に抱え込んだ揚げ句に、「ほかに使い道がないから」と原子力爆弾でもつくろうかという、テロリストも真っ青の核武装論者が国会にウヨウヨいる。日本はいまや恐怖の核大国なのだ。
東京電力の原発破損隠しとスキャンダルの全容
ウソつき東電の検査やり過ごし手口
2002年8月29日、経済産業省の原子力安全・保安院の発表によって、東京電力の破損隠しスキャンダルがあきらかになった。これも、いままでごく当たり前に東電を支配していた行動の一部があきらかになっただけのことで、驚くにあたいしない。
*Deutschドイツ語→Das Keizai-sangyō-shō (jap. 経済産業省, dt. „Ministerium für Wirtschaft und Industrie“; engl. Ministry of Economy, Trade and Industry, dt. „Ministerium für Wirtschaft, Handel und Industrie“, kurz METI) ist eines der Ministerien der japanischen Zentralregierung. Es ging im Jahr 2001 im Rahmen der Reform der Zentralregierung aus einem Zusammenschluss des MITI mit dem Wirtschaftsplanungsamt (経済企画庁, Keizai-kikaku-chō) und Abteilungen anderer Ministerien hervor. Derzeitiger Minister (2021) ist Hiroshi Kajiyama.
問題の発端は、電力会社の自主点検にかかわっていた社員の内部告発だった。そこから約2年間にわたる経産省の生ぬるい調査にたいして、シラを切り通してきた東電だったが、8月に突如、捜査に協力的となり、原発の損傷をもみ消した事実を経産業省に伝えた。
このなかには、炉心障壁(シュラウド)にひび割れが見つかったのに、国に報告しなかったなど、大事故につながりかねない事態もふくまれていた。しかもウソつき東電の本領発揮はここからだ。スキャンダルに社員がかかわっていたことをはじめて認めたのが、事態公表から3日目。そののちトラブル隠しの方法もかなり悪質だったことが発覚した。
福島第一原発では、ひび割れの見つかったシュラウドを取り換え、シートで隠して国の検査をやり過ごした。緊急炉心システムで見つかった損傷の兆候には、金属部品を取りつけたあとの周辺を、色まで塗ってごまかしたという。
八百長審判が「異常なし」と叫び続けて数十年
といっても、問題の根本に経産省の体質が深く関係していることを忘れてはいけない。あらためていうまでもなく、日本の原子力行政は原子力推進体制である。米国従属の中曽根康弘などの指導を受け、旧通産省(現在の経済産業省)は率先して「原子力」の旗を振ってきた。その実行に強力な「力」をあたえたのが、九電力体制という地域独占である。
九つの電力会社に電力事業を独占させ、欧米諸各国とくらべて割高な電気料金を保護する一方、政治力と補助で政府の方針に逆らわないよう縛りをかけた。この悪の構図では、ピッチャーとアンパイアがおなじ仲間である。どんな問題が発生していても、「ストライク(異常なし)」と判定しつづけてきた。その証拠に原発推進官庁である経産省のなかに「保安院」がある。
もちろん電力会社も経産省と同じ原発推進の立場であるから、全員「なあなな」の関係である。なるべく不正は隠し、見つかったものだけ身内で適当に処分する。そんな八百長ざんまいが、何十年もつづいてきた。誰か行動を起こさなければ、事実は永遠に闇のなかなのだ。原発の危険から市民を守るためにあるはずの保安院や原子力安全委員会は、相変わらず「原発推進委員会」となって暗躍している。
このときのスキャンダルは、重大事故が発生する前に隠しきれなくなった審判が、渋々「不正」を告発したのだが、経産省が原発の安全に気を配っているわけではない。それが証拠に、シュラウドにひび割れの疑いのある福島第一原発一基、柏崎刈羽原発二基を、運転停止処分にさえしていない。毎日新聞(02年9月3日)によれば、「疑われるトラブルが軽微な原子炉まで停止したら、電力供給に支障が生じかねない」と、経産省は説明しているという。
*A core shroud is a stainless steel cylinder surrounding a nuclear reactor core whose main function is to direct the cooling water flow.[1] The nuclear reactor core is where the nuclear reactions take place. Because the reactions are exothermic, cool water is needed to prevent the reactor core from melting down. The core shroud helps by directing this cool water towards the reactor core, providing stability to the nuclear reactions.
*Русскийロシア語→Корпусно́й я́дерный реа́ктор — ядерный реактор, активная зона которого находится внутри толстого цилиндрического корпуса. Корпусные реакторы выполняют с водой под давлением и кипящими.
原発のためなら国民が死んでもOK
経産省の原発推進政策を拒むものは、誰であろうと許されない。かつて四国電力社長が、「原発は時期尚早」と経済雑誌で発言し、旧通産省からゴツンされて、雑誌を回収される一幕もあった。もちろんこの事件でも、経産省が狙ったのは事故隠しであった。原発の点検作業を担ってきた米ゼネラル・エレクトリック(GE)元社員から、東電の破損隠しについて経産省保安院に内部告発があったにもかかわらず、実質的な調査にはいたらなかった。
*ゼネラル・エレクトリック(英語: General Electric Company、略称: GE)は、アメリカ合衆国を主な拠点とし電気事業をルーツとする多国籍コングロマリット企業である。世界最大のアメリカ合衆国の総合電機メーカー。
それどころか、告発者の情報を東電に漏らしたという。行政が内部告発者の名前を、告発対象の会社に教えるなど、人間としてのモラルに反するばかりか、公務員としての重大な犯罪行為である。こうした不誠実な態度によって内部告発から公表まで2年間もかかったにもかかわらず、保安院が「告発者保護を最優先にしたため」などと、長いあいだサボっていた理由を説明してる。わずか2週間あまりでバレるウソをつくぐらいなら、「国策としての原子力政策のスピードを落とさないためだった」とハッキリ発言すればいい。
1970年中頃には、東電の報告書に書かれた原発損傷の兆候を、旧通産省官僚が「異常なし」と書きなおさせた事実も判明している。なにがあっても「異常なし」の大本営発表は、原発推進が国策だからだ。国家のためには、国民が死んでも仕方がないと官僚たちは考えている。膨大な人命にかかわる原発の操業を、事故隠しや損傷隠しによってあえて維持したのは、全国住民の命を軽くあつかった犯罪行為といえる。どんな事故が発生しようとも、原発推進。むかし軍隊、いま官僚。玉砕覚悟で戦艦大和を沖縄に派遣したり、特攻隊を無目的に突っ込ませていた、旧軍部の無責任体制がいま再現されている。
わたしはシュラウドの危険を前から指摘していた
だいたいシュラウドの問題は十分に予測できた。わたしも、原発の老朽化が進んで炉修工事ながおこなわれ、この作業によって大量の被爆者がでていることをはやくから告発していた。新規立地が厳しくなったので、古い原発をすこしでも長く使おうという政策に、危険がつきまとうのは当然だ。
これまで隠蔽されてきた日本の被曝労働者が、ついに労働災害の適用を受けるようになってきた。まだ氷山の一角でしかないが、最近では福島第一、第二原発で働いた労働者が労働災害として認定されている。これは白血病を発症して、半年ぐらいの間に死亡した例でもある。
この人の認定は日本の原発で5人目となった。さらに1999年に発生したJCO東海事業所の臨界事故の労働者が急性被曝者として3人いるので、被曝労働者として国に認定されたのは、ようやく8人になった。ほかにもたくさんいるはずだ。その後も認定がぽつりぽつりとは認められている。最近では、04年1月に東京電力福島第一原発などで被曝した労働者なども認定された。
これら被爆者の増大によって、隠蔽されてきた状況があきらかになる可能性がある。原発は国の核戦略によっておこなわれてきたが、ついに厚生労働省も国策の犠牲者を認めざるを得ない状況になってきていた。いまさら、はじめて知って驚いたような顔をするのは、恥知らずだ。
ありもしない「電力不足」の脅しで原発推進
東電は、02年12月9日付の『朝日新聞』『毎日新聞』『読売新聞』『日本経済新聞』などの各紙に、「節電をお願い申し上げます」との一面広告を掲載した。これは原発のトラブル隠しにともなう運転停止命令や点検という、自業自得のピンチを逆手にとって、原発再開のチャンスに利用しようとする宣伝戦である。
「なにぶんにも首都圏の電力約四割は福島県、新潟県の原子力発電に依存しており、原子力発電所の点検停止により、非常に厳しい寒さの場合などには、首都圏の電力需要がまかなえなくなる可能性もでてきます」
新聞広告に書かれたこの文章など、ほとんど脅しである。そもそもわれわれは、電力会社に原発依存をもとめてきたわけではない。政府の援助と引き替えに政府の方針にただしたがうことで、各電力各社が勝手に原発への依存を進めてきたのだ。このように意識的につくりだされた原発依存体制が、「原発が休止したら電力不足になる」などという脅し文句につながっている。むやみに原発依存を強めず、もっとはやくから脱原発の方向にシフトしていれば、このような大広告を打つ必要もなかったはずだ。「盗っ人猛々しい」とは、このことだ。
03年夏にむけても東電は、電力不足による「停電パニック」を声高に宣伝し、自分の責任を棚上げにして、運転再開を目指した。「停電パニック」は、政府と一体化したプロパガンダだが、たとえ本当に停電が起こったにしても、これまた勝手な原発推進政策がつくりだした問題であり、地方の知事や反対派の責任に転嫁すべきではない。
また、14機が停止しても、代替発電でまかなわれていることを無視し、原子力以外の代替できる発電所の建設をサボって、停電パニックだけを訴えるのは見え透いたやり方だ。事実、結局は火力発電の稼動などで乗り切れた。膨大な量の原発をムリヤリ稼動させなくても、電力需要と電力供給量は合っている。これまで火力発電の設備がありながら、それを停止して原発に稼動させてきた経営方針こそ、批判されるべきである。
ところが政府と電力会社は、原発依存策という失敗から生まれた「電力不足」を利用して、定期点検の時間を縮めたり、あるいは休止状態の原発をやみくもに動かそうとした。これこそまさしく命取りである。電力を人質にとり、すこしでもはやく原発の再稼動を認めさせようという、電力会社の世論操作など許されるものではない。脱原発の一里塚を築くためにも、とにかく欠陥原発の休止が必要だ。
原発悪のサイクルI「ムダ遣いサイクル」
東電は財界・政治家・マスコミのタニマチ
小泉政権と自民党は、東電のスキャンダルを気にする様子はない。福田康夫官房長官は、政府の原発を見直す可能性について、「全くない。安全が保障されれば、環境的にもコストからみても、現状ではこれに勝るものがない」(『毎日新聞』02年9月3日)と明言している。どうしようもない無責任さだ。
しかし、原発には多大なコストがかかる。コスト削減というほかの産業ならば当然の発想もこと原発には希薄だった。ICO東海事業所のようなところでは、原発でのコスト削減は、悲惨な大事故と直結する。ICOはコスト削減のために、ウラン粉末と溶液をバケツで操作するという前代未聞の発想をつくりだした。存在自体が危ない原発の安全基準さえ守れない電力会社は、「異常なし」「安全だ」としかいわなかった。
これほどいい加減な企業姿勢を東電がもちつづけられたのは、日本最大の電力会社として財界・政治家・マスコミ・そのすべてを牛耳ってきたからである。悪が黙認されてきたのは、マスコミが原発のカネに汚染されているせいでもある。このスキャンダルで東電を退陣した5人の経営陣も、荒木浩会長は日本経団連の副会長、那須翔相談役は同評議会議長、平岩外四相談役は同名誉会長を務めていた。歴代の東電社長は、財界で君臨するのが当たり前だったのだ。古くは木川田一隆が経済同友会の代表幹事まで登りつめているし、永野久男は東京商工会議所副会頭にもなった。
*平岩 外四(ひらいわ がいし、1914年(大正3年)8月31日 - 2007年(平成19年)5月22日[1])は、愛知県常滑市出身の財界人、経営者。東京電力会長、第7代日本経済団体連合会(経団連)会長(在任、1990年(平成2年)12月21日 - 1994年(平成6年)5月27日)。
*Sho Nasu 那須翔(Sho Nasu(宮城県出身), 1924 September 19 - 2014 June 25 ) the seventh generation TEPCO President ( 1984 June - 1993 June). Former Chairman (June 1993- May 1999 ).
*Deutschドイツ語→Kikawada Kazutaka (japanisch 木川田 一隆; geboren 23. August 1899 in Yanagawa[A 1] (Präfektur Fukushima福島県出身); gestorben 4. März 1977) war ein japanischer Unternehmer und Wirtschaftsführer.
先述した平岩外四などは、12年間も経団連副会長を務め、そのあと会長になった。自社の不正に目をつむり、経済界で大きな顔をしていたとは、たいした神経のもち主である。政治家にも強い影響力を発揮するのも、東電の「お家芸」である。『朝日新聞』(02年9月13日)によれば、01年には役員のすくなくとも35人が、自民党の政治資金団体などに総額605万円を個人献金した。「個人のやり取りの問題で、一切関与してない」と、東電は個人献金を説明したようだが、「個人のやり取り」が聞いてあきれる。
ちなみに電力九社まで献金の対象をひろげると、役員の87%、228人が3390万円を「個人献金」したことになる。いわゆる「実弾」が飛び交っていたわけだ。自民党に政治献金をつづけてきた銀行やゼネコンなどは、赤字補填によって、国の金庫に穴をあけてきた。そうした企業は、そのアガリを政権党の政治家にもどす、こうしたムダ遣いのサイクルは、しだいに国民の目にもあきらかになってきた。
カネカネカネの「金」子力発電所
これまでもわたしは、原発社会がカネに汚染されていることを強調してきた。原発立地地帯あるいは原発予定地では、カネをめぐる荒廃は、極端なまでに進んでいる。カネなしでは運転できない原発を、わたしは「金子力発電所」と名づけている。こうした地域の状況については、『日本の原発地帯』(岩波書店)『原発列島を行く』(集英社新書)などにも詳しく書いた。
それでも、国や電力会社側に変化はない。02年9月13日、『朝日新聞』が報じたところによれば、島根原発に隣接する島根町は、02年に中国電力からとみられる匿名の寄付3億円を受け取った。01年もおなじく匿名で6億円も寄付されたという。原発立地点の島根県鹿島町にいたっては、02年に7億円にのぼる匿名希望の寄付を受けている。こうした「足長おじさん」を装った危険への「代償工作」を、各電力会社はごく当り前のように、実行してきた。
住民のほっぺたをカネで叩く電力会社の基本的なスタンスは、中曽根以来の手法である。高レベル核廃棄物の中韓貯蔵所を誘致している青森県むつ市の杉山粛市長は、02年に貯蔵約40年間で国から322億円はいるという皮算用を披露した。すでにむつ市は、施設の立地可能性調査を実施しているため、年間1億4000万円の交付金を国から受けている。
*杉山 粛(すぎやま まさし、1936年8月25日 - 2007年5月31日)は、日本の政治家。元むつ市長、元青森県議会議員、元むつ市議会議員。
03年にはたびかさなる事故とトラブル隠しという不祥事によって、全面的に停止に追い込まれた原発を再稼動させるために、東電は柏崎・刈羽の市議・村議31人にビール券を配って批判されるなど、「安全性より、とにかく金をばらまけ」の姿勢はなんら変わっていない。まさにカネカネカネの異常事態である。
ただし原発がもたらすカネは、地方を豊かにはしない。最近では発電所建設の利益が地元に還元される「電源三法」の交付金も浪費してしまい。あらたに地方交付税を申請する自治体がふえている。再建団体指定に転落する恐れのある自治体もでてきている。これまでつくったハコモノ(体質館や公民館など)の維持費が、財政逼迫の大きな理由である。コストアップ、廃棄物処理、被曝労働者発生などの難問は、住民をカネで黙らせてきた乱暴な開発のツケである。
原発悪のサイクルII「核燃料サイクル」
高速増殖炉もプルサーマルも大失敗
しかし、これだけ安全が脅かされると、カネだけでは地域にフタをできない。破損隠しスキャンダルにより、いくつかの地方自治体はこれ以上の危険をいやがってプルサーマル計画に疑念をしめすようになった。
*プルサーマルMixed oxide fuelとは、プルトニウムで燃料を作り、従来の熱中性子炉で燃料の一部として使うことを言う。名称の由来:プルトニウムのプルとサーマルニュートロン・リアクター(熱中性子炉)のサーマルを繋げた和製英語(plutonium thermal use)である。
福島県の佐藤栄佐久知事は当面認めないとの方針を打ちだし、つづいて新潟県もすでに搬入したMOX原料の装荷を認めていない。
*Eisaku Satō (佐藤 栄佐久(福島県出身), Satō Eisaku) (born 24 June 1939) is a Japanese politician who served as the governor of Fukushima Prefecture of Japan from 1988 to 2006.
「プルサーマルを一番目に受け入れるわけにはいかない」という平山征夫新潟県知事のいい分は、福島が実施したあとでないといやだということである。
*平山 征夫(ひらやま いくお(新潟県出身)、1944年7月21日 - )は、日本の政治家、大学教員。新潟県知事(在任1992年 - 2004年)。
危険な廃物利用、プルサーマル計画は、この2人の知事によっていったんは歯止めがかかった。原発推進自治体であった福島県富岡町の遠藤勝也町長は、「県と連携し、国に政策変更させたい」(『朝日新聞』02年9月25日)と反発している。ついに経産省の村田成二事務次官も、「(プルサーマル計画は)まったく発想を変えた取り組みが必要となるかも」と話した。行政側からも、疑問の声があがりはじめた。
ここでプルサーマル計画をふくむ「核燃料サイクル」政策について説明しておきたい。おもな核燃料は天然ウランだが、ほとんど輸入に頼っている。そこで発電後の使用済み核燃料からプルトニウムというあらたな燃料を取り出す。この過程を「再処理」といって、これまでフランスに委託していたが、将来は青森県六ヶ所村の再処理工場で生産しようとしている。ちなみにプルトニウムはきわめて毒性が強く、原爆の原材料にもなっており、その危険性が反対運動の大きな要因になっている。
*天然ウラン(てんねんウラン)Natural uraniumは、広義では、自然界にあるウラン資源(ウラン鉱石や海水に含まれるウランを含む)およびウランの同位体組成が自然界にあるウランと同一のものを指す。狭義では、ウラン金属およびその化合物(酸化物、フッ化物、炭化物、窒化物)を指す。濃縮ウランおよび劣化ウランとの対比で用いられる場合はこの狭義の意味で用いられる。
プルトニウムとウランの混合酸化物(MOX)を燃料として原発に使われるのが、プルサーマル計画である。使った以上のプルトニウムを生み出そうというのが、「高速増殖炉」で、福井県教育の「もんじゅ」がそれに当たる。
*プルトニウム(英・羅: Plutonium 英語: [pluːˈtoʊniəm])は、原子番号94の元素である。元素記号は Pu。アクチノイド元素の一つ。
*Italianoイタリア語→La centrale nucleare di Monjuもんじゅ è una centrale nucleare situata presso Tsuruga nella Prefettura di Fukui, sulle coste del Mar del Giappone. Possiede un unico reattore FBR da 246 MW.
ところが「もんじゅ」は1995年12月にナトリウム漏れ火災事故を起こして稼動できなくなり、フランスから運ばれるプルトニウムを消費できなくなった。それもプルサーマル計画推進の理由である。したがって「もんじゅ」が動かず、プルサーマル計画も中断となると、六ヶ所村に建設中の再処理工場の存在自体が問い直されることになる。実際、村田事務次官の発言にたいして、青森県の木村守知事でさえ、「理解に苦しむ」と語った。
*Rokkasho (六ヶ所村, Rokkasho-mura) is a village in Aomori Prefecture, Japan.
使用済み核燃料満載のプールには穴、最終処理場は未定
原発推進策の行き詰まりは、使用済み核燃料の問題でもあらわになってきた。核燃料サイクル自体が身動きできないので、原発から発生しても再処理できない使用済み核燃料は、日々増大の一途をたどり、各原発施設に置かれている使用済み核燃料プールはいっぱいとなりつつある。これらは、青森県六ヶ所村に運ばれる順番待ちとなっているのだが、置き場に困った原発会社は、施設内に貯蔵プールの建設をはじめだした。
肝心の六ヶ所村では、01年7月にプールに穴があき、漏水するという事態となった。いまや膨大な被曝労働者を生みだしながら補修に明け暮れて、まる2年を経過しても修理は終わらない。これはプールの底の溶接部分に250ヶ所にもおよぶ、手抜き工事による不正溶接が発覚したためである。
貯蔵プールが2年以上にわたり修理されつづけたのは異常事態で、なかなか完了をみないのは、つぎつぎに新しい欠陥が発見されたからである。もっとも危険な核燃料をこんな工場で再処理するなど、絶対にやらせてはいけないことだ。
高レベル核廃棄物を最終処分地に移すまでの中間貯蔵所の建設も焦眉の課題になっている。青森県下北半島のむつ市(259ページ参照)が受け入れを正式表明しているが、いまだ建設予定地を発表できずにいる。この地域には原発反対派の共有地もあり、施設の建設の見通しは、きわめて暗い。ここは原子力船むつの「母港」とされたところで、原子力船からでた廃棄物の一部は東海村に運ばれ、残りは「母港」の丘の上に保存されている。日本最初の中間貯蔵所にされそうだが、産業廃棄物以上に危険な高レベル核廃棄物は、本来は移動させないのがいちばん安全だ。
*Suomiフィンランド語→NS Mutsu原子力船むつ oli japanilainen ydinkäyttöinen kauppalaiva. Se oli ensimmäinen ja ainoa ydinvoimalla toiminut japanilaisalus ja yksi neljästä koskaan rakennetusta ydinkäyttöisestä kauppalaivasta, mutta se ei koskaan kuljettanut kaupallista rahtia.
さらに肝心の最終処理地は決まらない。どの自治体も絶対に容認しない。このようなフン詰り状態の原発にたいして、電業連(電気事業連合会)はなんら反省もなく、ただ糊塗するだけ。原発依存体制を維持しようとしている政策こそ、批判すべきである。
*電気事業連合会(でんきじぎょうれんごうかい、英語:The Federation of Electric Power Companies of Japan、電事連、FEPC)は、日本における電気事業の運営の円滑化を図るため設立された、電力会社各社の連合会である・・・原子力発電(原発)を推進するためロビイストとして長年に亘って自民党と深い関わりを持つ[2]。
もんじゅは成仏させるしかない
一方で「もんじゅ」に、改造を施すなどして、なんとか再開核燃料サイクルを動かそうという動きがある。しかし高速増殖炉は、国際的にはすでに「ダメ」と決着がついて、各国が撤退している。03年1月下旬にだされた名古屋高裁支部の「もんじゅ」にたいする設置許可無効の判決は画期的である。
「原子炉格納容器内の放射能物質の外部環境への放射の具体的危険性を否定することができない。かかる重大な瑕疵がある安全審査に依拠した本件許可処分は無効と判断すべきである」という判断を下している。この判決は、「原子力安全委員会もしくは原子炉安全専門審査会の調査審議及び判断の過程に看破し難い過誤、欠落があること」も認めている。
原発の安全審査のいい加減さは、地元住民からたびたび指摘されてきた。先に述べたピッチャーがアンパイアをやっているのとおなじ自作自演の構図を、裁判所から明確に批判されたのである。プルトニウムによって、無限に発電する夢の増殖という他愛ない夢を、語りつづけたのは、詐欺にも匹敵する。
このように日本の原発は、最終処分場も決まっていない状況もふくめて、完全にどん詰まりの状況にきている。それを無理に「もんじゅ」の再開やプルサーマルの拡大で解決しようとしているのだから、危険性はますますひろがる。01年9月の米国同時多発テロの発生でも原発は大きな問題として浮かび上がった。ニューヨークの世界貿易センタービルにたいする攻撃がしめすとおり、その国の象徴的な存在や攻撃に弱い施設がテロの標的となる。米国と一心同体の政策をとっている日本で、原発は標的として申し分ない存在になる。
六ヶ所村の核燃料サイクル施設は、三沢基地を発進した戦闘機が激突しても、耐えられるほどのコンクリート強度をもつといわれる。しかし巨大な航空機が突入することなど想定されていないし、原発の屋根が側壁ほど強くないという問題もある。日本各地の原発は、テロによっても死の灰を撒き散らす可能性をもちつづける。その被害は、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故を上まわると予想されている。
*미사와 비행장(일본어: 三沢飛行場, 영어: Misawa Air Base) 또는 미사와 공항(일본어: 三沢空港, 영어: Misawa Airport)은 주일미군과 항공자위대가 사용하는 군용 기지이자 일본항공이 도쿄 국제공항및 오사카 국제공항, 오카다마 공항을 오가는 국내선 노선을 운항하고 있다.
ばらまきガネより命が大切と住民が反旗
01年5月下旬に新潟県刈羽村でおこなわれた、プルサーマル計画受け入れにたいする住民投票は、反対1925、賛成1533、保留131となった。つまり、過半数の村民が反対を表明してプルサーマル計画はストップした。刈羽村の人口は、およそ5000人、世帯数が1500弱のちいさな村だが、世界最大の原発地帯である。
110万キロワットの原発が5基、130万キロワットが2基も並んでいる。このちいさな村に、電源三法にもとづく電源立地促進対策交付金などで投入されたカネは215億円にものぼる。
これだけのカネが爆弾のように打ち込まれてもなお、住民はいやだという。住民が原発に不満をもっていることはあきらかである。しかし小泉首相をはじめ日本政府は、さらに住民を説得するといっている。これはストーカー行為だ、と地元の知人が笑っていた。いやだというのに、まだ好きになってくれと追かけまわすのだから、人権侵害もはなはだしい。
これだけ嫌われるプルサーマル計画に危機感をもったのか、政府は計画を受け入れる自治体に、さらにカネを投入しようとしている。またカネだ。電源三法交付金や各種の補助金に準ずるあつかいである。プルサーマル計画を受け入れてもメリットがない、という地元の批判にたいして、追い銭を払おうというものだ。
原発計画およびプルサーマル計画は、ストーカー行為であり、さらにカネを払って説得しようというのは、「援交」政策である。カネを払えばすむと国が、率先実践しているのだから、こんなインモラルはない。こんな政府に教育などを任せているのは、とんでもない。刈羽村は隣りの柏崎市と並んで、1970年代から原発反対運動をつづけてきた。ここは原発にたいして大衆運動が盛り上がったところで、わたしもそのころから取材に訪れている。この田中角栄の選挙地盤であった刈羽村は、郡市の柏崎から10キロもないため、若ものたちの運動圏となっている。ほかの原発地帯のように、高齢者だけが残っている地域ではない。そのため若者による原発反対運動が盛んであった。
*Españolスペイン語→Kakuei Tanaka (田中 角栄 o 田中 角榮(新潟県出身) , Tanaka Kakuei?, Nishiyama, 4 de mayo de 1918 - Minato, 16 de diciembre de 1993) fue un político japonés, 64.º y 65.º Primer ministro de Japón desde el 7 de julio de 1972 hasta el 22 de diciembre de 1972, y desde el 22 de diciembre de 1972 hasta el 9 de diciembre de 1974.
この反対運動を切り崩したのは、国と東電がばらまいたカネであった。角栄がその利権を稼いだ事実が、歴史的に暴露されている。しかし住民投票にむけた運動が盛んだったころ、わたしは取材にいって、風向きのちがいを感じた。原発に賛成していた議員たちが、プルサーマルについては反対するようになっていたのである。
かつて原発反対派の村会議員は、たった1人しかいなかった。ところがいまや反対派議員が複数となり、彼らが条件派の議員たちとともに、プルサーマル否決の住民投票にもちこんだ。このように、村内で原発不信の世論が大きくなったのは、ただカネだけでやってきた国の政策にたいする批判が、すこしずつ強くなってきたからだ。
だいたい危険すぎるプルサーマル計画で事故が発生したら、その責任を誰がとるのか。歴代の首相、経済産業省、および文部科学省の幹部の責任は、重罪に値する。
つぎに原発会社は国民の財布を引ったくる
紙幣を燃やして発電しているんじゃないの?
電力会社は二言目には「原発は発電コストにたいして、燃料費が安価なエネルギー源であり、火力や水力よりも優位にある」と主張してきた。が、それも破綻している。使用済み核燃料の再処理に膨大なカネがかかるのである。再処理工場は浪費のきわめつけだ。当初計画されたところでは、再処理工場、濃縮ウラン工場、低レベル核廃棄貯蔵所のいわゆる三点セットをふくめて1兆円といわれていた。
それが01年にはなんと、再処理工場だけで2兆1400億円という金額になっていた。そのあとの経費は天文学的数字で、総事業費が11兆円にのぼる、という計算もある。プルサーマル計画の燃料工場だけで1200億円、加えて高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)が、2020年までに4万本でると推定され、この処分地の代金だけで3兆円かかるとされている。
つまり核燃料サイクルは、これからも膨大な資金をむさぼり食らう。1日もはやくやめるべきだ。原子力発電の経済性に詳しい長沢啓行・大阪府立大工学部教授(生産管理システム)は「火力では天然ガス発電の技術開発が進み、発電原価が安くなった。原子力発電は、新規立地の難航による建設費の増大も影響し、相対的に割高なエネルギー源となっている」と指摘する。
天然ガスによる火力発電、あるいは燃料電池、風力などのライバルとなる新しい発電が一層進展するから、ムダだらけの原発が、コストで対抗できるはずがない。再処理工場が建設されている六ヶ所村では、米国が本社のエンロンの関連会社が、天然ガスによる200万キロワットの大型火力発電所を建設すると発表した。ところが、エンロンが不正経理操作によって倒産(173ページ参照)。この関連会社も連鎖倒産となって、計画は白紙撤回となってしまった。
しかし電力の自由化により、こうした外国からの進出は、今後さらに進んでくる。すでに原発プラントを生産する電機メーカーにとって、原発はお荷物になりはじめている。IT(情報通信技術)の新規需要にむけて、設置投資が必要な電気メーカーが、発電プラントの赤字によって足を引っぱられるという皮肉な状態にある。
たとえ再処理工場が100%安全であったにしても、すでにそのコストはフランスの三倍と推定されている。それだけのバカげたコストアップを認めてまで、原発を推進する理由がない。愚挙は即刻やめた方がいい。
コソドロを繰り返す核燃料開発サイクル機構ら
電力会社の地域独占体制は、今後、自由化によって崩れ、コストを意識するようになるとの指摘がある。しかしカネは使い放題、採算は度外視、経営・設備の失敗は利用者にまわすといった、およそ民間会社では信じられない経営方針で、火力・水力発電から原発へとシフトしてきた電力会社の体質は簡単にはあらたまらない。
それを象徴するのが先述のICO事件(257ページ参照)と01年のヤミ給与事件である。後者は原発推進団体のカネで腐った体質をしめすもので、旧動燃とそれを引き継いだ核燃料開発サイクル機構が、事業費を給与にあてていたという事件だ。つまり事業を食ってしまったわけで、普段おこなわれている事業が、いかにムダだったかをあきらかにした。
旧動燃といえば高速増殖炉「もんじゅ」のビデオを隠したり、再処理工場の事故でもデタラメ報告をしたり、さんざん批判されて名前を変えたが、実態はなんにも変わっていない。長年の秘密主義と陰湿体質は、改善されるわけがない。これは旧動燃だけの問題ではない。原発全体の欠陥である。すでに建設段階から、原発隠しで用地を買収するというコソドロのようなやり方が当たり前になっていた。
用地買収の欺まんだけではない。漁業権放棄にむけた漁業組合の買収や工作手段も、きわめて陰険なものであった。そして事故隠しに、給与ドロボウ、原発会社は闇の集団である。時代の要請に耳を傾けるならば、太陽熱や燃料電池、風力、バイオマス発電など、さまざまな方法を組み合わせてソフトエネルギーをつくりだすべきである。そうした努力をいっさい拒否し、戦争にでも突入するがごとく、「原発依存体制」をつくりあげてきた。
この政府と電力会社の姿勢では、日本の原子力政策はメルトダウン(炉心溶解)だ。旧軍部のように国を滅ぼす官僚機構が、原子力研究所(原研)である。各電力会社は、いまごろになって、原発がコストアップになるとおののいているが、まだ政府は原子力政策を強行しようとしている。原発建設が経営破綻を招くのは確実だが、太平洋戦争末期とおなじように、政府は「原子力聖戦」と「玉砕」をあおっている。では将来、電力会社が経営不振に陥ったらどうするつもりなのか。
*일본원자력연구소(JAERI : Japan Atomic Energy Research Institute)는 일본의 원자력 연구 기관이었다. 약칭은 겐켄(일본어: げんけん)이다.
電気事業連合会の国家予算むしり取り深謀遠慮
ひとつのヒントが電気事業連合会(電事連)が03年11月に発表した、「核燃料サイクルにかかる総費用」である。06年から再処理工場が操業し、72年間で廃止するまでの費用が21兆7000億円だという。そのうち19兆円に訂正されたが、問題なのは電事連が、なぜこの時期に発表したかである。
というのも、これまで核廃棄物の処理費はいっさい発表せず、前述のように「原発の発電コストがいちばん安い」と主張するだけだったからだ。ところが発表された19兆円の経費を発電コストに組み入れると、天然ガスや石炭での発電とくらべて、高くなる可能性がでてきた。原発推進派が唱えていた経済的優位性も自ら崩したといえる。
電力自由化の前なら、政府とグルになって電気料金を上げればよかった。しかし新規事業者との競争がはじまっている現在、値上げには抵抗が強い。それで電事通が仕掛けたのが、公的資金投入の議論を呼び起こすための金額の発表である。
いままで秘密にしてきた数値を時期をみて小出しに発表し、自分たちの窮状を訴え、国民へ負担を押しつけようとする深慮遠謀である。ついに電力会社も、将来のコスト負担に音をあげはじめた。電力会社が地域や政治家に払う金は、電力会社に選択できない消費者からむしり取った電気料金だし、各自治体に払われる交付金は国民の血税である。一企業にすぎない電力会社が、まるで土砂降りの雨のようにそのカネをばらまいてきた。そしてこんどは、勝手に進めてきた原発政策のツケを、税金にまわそうとする。許されるはずもない。
面倒くさいから核兵器を作ってしまえ
さて、高速増殖炉「もんじゅ」もプルサーマル計画もダメとなれば、プルトニウムの需要は原発にはないということになる。だとしたら、青森県六ヶ所村に建設されようとしている兆単位の投資をした再処理工場は、原子力船むつのように、膨大な無駄使いとして終らなければならない。ところが政府はいまだ断念していない。となれば原発以外の使用をたくらんでいると思われても仕方ない。
プルトニウムという物資は他の用途としては核兵器の基盤しかありえないのだから、原子力爆弾をつくる以外に理由がない。イラクや北朝鮮には核兵器などの大量破壊兵器疑惑が問題視されたが、使いもしないプルトニウムを生産する施設を政府がつくろうとすれば、近隣の諸国から、核武装を狙う国家計画と考えられて当然である。
実際に、改悪派と核武装派の国会議員がいままで想像もできなかったほどふえている。『毎日新聞』がおこなったアンケート調査によれば(03年11月11日)、03年11月の総選挙で当選した麻生太郎、綿貫民輔など、衆院議員の17%が核武装の検討を肯定している。
*Tamisuke Watanuki (綿貫 民輔, Watanuki Tamisuke, born 30 April 1927) is a Japanese politician from the Toyama Prefecture(富山県出身の日本人政治家). He started his own export-import company at age 28.
核武装検討に肯定的で、なおかつ改憲賛成となると、自民党で42人、民主党で8人、保守新党(アンケート時)1人、無所属1人となる。これは時代の危機といえる。すでに憲法改悪に必要な国会議員の三分の二の票を集めるのに苦労はない。それどころか核武装に突き進むことさえ、現実味を帯びてきた。
第10章 行政のムダ遣い体質および捜査・司法のゆがみを告発する
不景気顔の小泉が政権を取って、不景気が世を覆った。その一方で、相変わらず官僚によるデタラメな浪費や時代遅れの遺言があとを絶たない。ムダな公共事業は地球を殺すにいたった。また警察・検察などの捜査当局は「法の下の不平等」としかいいようのない気ままさで1人を拘束し、裁判所は明白な証拠がないまま、ウップンばらしの「悪役」に死刑判決を下している。この章では行政と司法のデタラメを検証する。
湯水のように使うムダガネを浪費するデタラメ行政
害だけが残った諌早湾干拓
2001年春にムダなカネ遣いの現場をいくつか歩いた。
ひとつは、長崎県諌早湾の干拓事業である。総工費2490億円といわれるこの環境大破壊事業は、予想通り、有明湾を汚染した。ところが、農林水産省の「調査検討委員会」は、少なくとも1年間締め切りにすると発表した。この鈍感さは、致命的だ。たしかに防潮堤にちかい漁民は、防潮堤の内側に推積したヘドロが流れだして、漁場を壊滅させるといって開門に反対していた。漁業場を手放し、生活のために干拓工事にでている人たちの反対だという報道もあった。
*Cebuanoセブアノ語→Luuk ang Isahaya-wan諫早湾 sa Hapon.[1] Nahimutang ni sa prepektura sa Nagasaki, sa habagatan-kasadpang bahin sa nasod, 900 km sa kasadpan sa Tokyo ang ulohan sa nasod.
しかし、いまかろうじて残されている漁場が、ヘドロによって完全につぶされる、という彼らの不安は理解できる。それにたいして、ノリなどを生産している佐賀県や福岡県など水門から離れた漁師たちは、有明海全体に汚染が拡大する事態に強い不安を感じ、よりはやい時期の水門開放をもとめている。このように漁民同士の間で対立しているが、解決策はある。長期的には自然の浄化力をあてにできるのだから、いま防潮堤の内側に推積されたヘドロを浚渫するなど、除去してから開放すればいい。干拓事業を中止して、その予算を浄化に使うべきだ。
それにしても、なんの意味ももたない税金のムダ遣いであった。はじめは農地をつくるといい、そのあとは防災事業だといい換えて、しゃにむにゼネコンのための工事を強行。環境破壊のためにムダなカネを使って、地元住民を対立させただけだ。
何の役にも立たない川辺川ダム
つぎにたずねたのは、熊本県の川辺川ダムだ。工事によって壊滅状態になる五木村のダムの工事現場を見てまわった。川辺川は球磨川に合流する清流である。絶滅も危惧される動植物が生きる地域に、巨大なダム本体の建設工事がはじまろうとしていた。
*The Kawabe Rive川辺川r is the largest tributary of the Kuma River system and is a first-class river that flows through Kumamoto Prefecture .Kawabegawa dam川辺川ダム is, Kumamoto Prefecture Kuma-gun Sagara village , the primary rivers Kuma River water system of Kawabegawa was planned to dam is.