日系カナダ人独り言ブログ

当ブログはトロント在住、日系一世カナダ人サミー・山田(48)おっさんの「独り言」です。まさに「個人日記」。1968年11月16日東京都目黒区出身(A型)・在北米30年の日系カナダ人(Canadian Citizen)・University of Toronto Woodsworth College BA History & East Asian Studies Major トロント在住(職業記者・医療関連・副職画家)・Toronto Ontario「団体」「宗教」「党派」一切無関係・「政治的」意図皆無=「事実関係」特定の「考え」が’正しい’あるいは一方だけが’間違ってる’いう気は毛頭なし。「知って」それぞれ「考えて」いただれれば本望(^_-☆Everybody!! Let's 'Ponder' or 'Contemplate' On va vous re?-chercher!Internationale!!「世界人類みな兄弟」「平和祈願」「友好共存」「戦争反対」「☆Against Racism☆」「☆Gender Equality☆」&ノーモア「ヘイト」(怨恨、涙、怒りや敵意しか生まない)Thank you very much for everything!! Ma Cher Minasan, Merci Beaucoup et Bonne Chance 

『資本主義ロシアー模索と混乱』中澤孝之/Capitalist russia-Groping and confusion Takayuki Nakazawa/Капиталистическая Россия Нащупывание и путаница Такаюки Наказава③


①ロシア連邦共産党(ロシアれんぽうきょうさんとう、ロシア語: Коммунистическая партия Российской Федерации КПРФ, 英語: Communist Party of the Russian Federation CPRF)は、ロシアの共産主義政党。党員は約16万人。党首は中央執行委員長のゲンナジー・ジュガーノフ。

②Gennady Andreyevich Zyuganovゲンナジー・アンドレーエヴィッチ・ジュガーノフ(Russian: Геннадий Андреевич Зюганов; born 26 June 1944) is a Russian politician, who has been the General Secretary of the Communist Party of the Russian Federation and served as Member of the State Duma since 1993. He is also the Chair of the Union of Communist Parties – Communist Party of the Soviet Union (UCP-CPSU) since 2001 and a member of the Parliamentary Assembly of the Council of Europe since 1996.
チュバイスは7月4日「第二段階では、国民の3~5%を占める富裕層を対象にしている。これらの人びとによって投入される資金は年末までにには一兆ルーブルに達するであろう」と語った。現金による直接の株購入のため、小切手方式とは違い、企業に株売却に伴う資金が入る。企業によっては投資使用金を調達できるというメリットがあるが、一方では、すでに金持ちとなった「ノメンクラトゥーラ」が株でさらに富を蓄積し続け、貧富の格差の拡大につながら可能性は大きい。

「民営化の実態」
いずれにせよ、国有財産を国民すべてに平等に分配するという「経済の民主化」の理想実現には程遠い民営化であったと言える。鳴り物入りで始められたこの民営化は、国家から限られた階層である「ノメンクラトゥーラ」への名目的な所有権の移転に過ぎず、経営の合理化促進などの保証とはなり得なかった。ロシア・東欧問題に詳しいブレジンスキー元米大統領補佐官は、ロシアの民営化は「フィクション」にすぎないと断じ、本当の意味での民営化は「民営化企業」の三割以下だと指摘している(『ジャパン・タイムズ』紙10月17日付け)。

①ズビグネフ・カジミエシュ・ブレジンスキーЗби́гнев Кази́мир (Кази́меж) Бжези́нскийZbigniew Kazimierz BrzezinskiまたはBrzeziński[ˈzbɪɡnjɛv brəˈʒɪnski], 1928年3月28日 - 2017年5月26日[2])は、アメリカ在住の政治学者②Русскийロシア語⇒«Джапа́н таймс»(The Japan Timesジャパンタイムズ — «Японское время») — японская газета на английском языке, первая и теперь старейшая англоязычная газета страны.
ロシア人はプリバチザーツィアПриватизация(民営化)と言わずに、プリフバチザーツィア(略奪化)と、発音の似た言葉でちゃかすことがある。国有財産の略奪化であるという意味が込められている。民営化、株式会社化されたといっても、企業の半分の株は国家が握っているに等しい。半分は従業員がもつ従業員持ち株制度では、経営形態が変わらないから、従来通り、企業努力はほとんど無視されるのである。
*民営化Приватизація(みんえいかPrivatisierung、英:PrivatizationPrivatisation민영화民營化또는 사영화私營化とは、国家や地方公共団体が経営していた企業および特殊法人などが、一般民間企業に改組されること、運営が民間委託されること、さらには民間に売却されることなど、さまざまな形態を指して用いられている政治的な言葉である。
『新時代』誌95年第20、21号は『二つの民営化』という非常に興味ある長文の論文を掲載した。この筆者はそのなかで、民営化には「国家財産の分配」であると述べ、ロシアでは新しい経済体制、つまり「ノメンクラトゥーラ資本主義」が形成されたとの結論を下した。「完全経済処理」という言葉も聞かれるが、かつての特権で国有財産を「完全経済処理」できる新しいノメンクラトゥーラのための資本主義というわけだ。新ノメンクラトゥーラには、旧ノメンクラトゥーラ(ある調査によればロシアのトップ実業家100人のうち61人)に、「新ロシア人」やマフィアも加わる。
ついでながら、94年5月27日、20年ぶりに祖国の土を踏んだ作家のソルジェニーツィン氏は、6月4日ハバロフスク地方Хабаровский крайのイシャエフ行政長官との会談の席上、ロシアの改革について触れ、「私は断言するが、ロシアには十分に考察された上での建設的で、相互に連携し合った行動の体系的な改革は、全く存在しなかったし、存在していない。商品の独占的生産者がいるのだ。物価を自由化することは、狂気の沙汰である」と強調し、民営化についても、「世界に前例のないこのような無秩序な民営化は、検察が摘発すべきである」と指摘したことを紹介しておく。確かに、生産の超独占的体制が存続し、競争原理が皆無なままの「資本主義化」は、ヤブリンスキー・ロシア経済政治研究センター所長が言うように(6月29日付け『日本経済新聞』)、幻想にすぎないのかもしれない。

①ヴィクトル・イワノヴィチ・イシャエフ(ロシア語: Виктор Иванович Ишаев、ラテン文字転写の例:Victor Ivanovich Ishaev、1948年4月16日 - )は、ロシアの政治家、経済学者。ロシア極東、ハバロフスク地方知事、極東連邦管区大統領全権代表、同大統領全権代表兼極東開発大臣(極東発展大臣)を歴任したУкраїнськаウクライナ語→Ніхон кейдзай сімбун (яп. 日本経済新聞Нихон кэйдзай симбун, にほんけいざいしんぶんThe Nihon Keizai Shimbun , ніхон кейдзай сінбун, газета «Економіка Японії») — щотижнева загальнонаціональна газета в Японії. Спеціалізується на новинах економічного і фінансового світу.


第二章 ロシア資本主義経済の混迷 
1 インフレ抑制と生産低下
激しいインフレーション
ロシアの資本主義化が進む中で、数多くの矛盾が出始めた。どこの国でも起きている矛盾もあれば、ロシア連邦特有のものもある。ロシア資本主義がソフトランディングするころには、そうした矛盾がどの程度解決されるのであろうか。もっとも、いつソフトランディングが可能なのかは、全く予測できないがー。
まず第一に、インフレの問題。92年には年間インフレ率2600%というハイパーインフレを経験した。一年間に物価がざっと26倍も上がったことになる。93年は1000%と落ちたが、それでも、平時にしては大変なインフレ率である。94年は1月の月間インフレ率21%をピークに徐々に下降をたどった。6月4・8%、7月5・1%、8月は4・0%と過去三年で最低を記録した。しかし、9月には主に鉄道運賃の引き上げが響いて7・7%と再び上昇、10月には「ブラック・チューズデー」(ルーブル大暴落)に伴う輸入品の価格上昇などで15・1%と、再び二ケタ台に戻った。94年末には30%アップを予測する専門家もいる。

ИнфляцияインフレーションInflation経済学では、一定期間にわたって経済の価格水準が全般的に上昇することをインフレーション(英語: inflation、物価上昇、インフレ)と呼ぶ。一般的な価格水準が上昇すると、1単位の通貨で購入できる財やサービスの数が減る。その結果、インフレーションは1単位の通貨あたりの購買力の低下、つまり経済における交換手段や会計単位の実質的な価値の低下を反映する。
急進経済改革を突っ走ったガイダル路線を引き継いだチェルノムイルジン首相は、94年になって、Макроэкономикаマクロ経済Macroeconomics重視に転換し、財政引き締め、インフレ抑制に力を入れ始めた。この政策転換はチェルノムイルジンの「ガイダル化」といわれた。超デフレ政策が約八ヶ月も続いた。94年度の国家予算案を見ても、緊縮財政を維持した。国際通貨基金(IMF)からの新たな融資のための条件をみたす必要からでもあろうが、10月初めの現在、「死を意味するハイパーインフレに陥ることはできない」とするチェルノムイルジンの「ガイダル化」は、インフレ抑制の点では一時、成功したかに見える。
しかし、このインフレ抑制もかなり無理な政策の結果であり、今後に大きな問題を残すことになろう。94年9月に来日したアバルキン・ロシア科学アカデミー経済研究所所長(元ソ連経済担当副首相)は「インフレ鈍化は純然とした経済の改善ではない。これによって国民の政府に対する不信感が増幅されており、インフレ鈍化政策の代償は大きなものになる」と言明。その背景を「政府予算の歳出が七ヶ月経過した時点で、全体の四分の一しか実行されておらず、政府が買い付けた作物の代金などの支払いも全くなされていない。このため労働者に給料が払えない状況だ。政府は意図的に需要を抑制している」と分析した。

①Leonid Ivanovich Abalkinレオニード・イヴァノヴィチ・アバルキン(Russian: Леони́д Ива́нович Аба́лкин pronunciation (help·info); 5 May 1930 – 2 May 2011) was a Russian economist②ロシア科学アカデミー(ロシアかがくアカデミー、Росси́йская акаде́мия нау́к、Rossiiskaya akademiya nauk、略称はРАН、RAN)Russian Academy of Sciencesは、ロシアの最高学術機関とされる国立アカデミーである。ロシア科学アカデミーは、ロシア連邦全土の学術研究機関を包括するものである。ソビエト社会主義共和国連邦科学アカデミー(Академия наук СССР、Akademiya Nauk SSSR)
深刻な生産の落込み
次に問題なのは、生産の低下である。94年上半期のロシア経済は、企業間債務の増大と物価の上昇を伴いながら、生産が下降した。生産減少はロシア全体平均で前年同期比27%(1月から7月までのロシアの工業生産は24%減少)となる。とりわけ投資向け製品を製造する工業部門、国民消費向け非食品製造部門で最も著しく生産が落ちた。ロシア政府は6月9日に開いた会議で、機械製作部門が危機的な状況にあることを認めている。会議を主宰したソスコベツ第一副首相は、94年1月から5月にロシアの工業生産が25%減少し、5500社の工業企業が操業を停止していると語った。

*オレグ・ニコラエヴィチ・ソスコヴェツ(サスコヴェツ、ロシア語: Олег Николаевич Сосковец、ラテン文字転写の例:Oleg Nikolaevich Soskovets、1949年5月11日 - )は、ソビエト連邦、カザフスタンおよびロシアの政治家。エリツィン時代にロシア連邦第一副首相を務めた。1985年から技術学博士候補。
工業生産の低下は、特に加工産業や機械製造、ハイテクВысокие технологии産業に顕著に現れており、消費部門での生産は平均を大きく下回っているという(前記アバルキン経済研究所所長)。例えば、繊維工業は、住民の有効需要の減退で深刻な財政危機に陥っている。生産の落ち込みは上半期に43%であった。繊維製品企業の原料供給企業への負債は94年に入ってから月平均8%も膨れ上がり、消費者の繊維企業に対する負債額も増勢をたどって、6月末現在で総額1兆1000億ルーブルに達した。消費者は衣料品を外国製品に切り替えている(ビジネス・タス8月10日)。
ロシア最大の繊維企業「ユグテス」株式会社は94年2月10日危うく操業停止になりかかった。主要電力供給のクラスノダールКраснода́р電力への未払い金の支払いができなかったためだが、クラスノダール地方Краснодарский край政府が支援して何とか操業停止を免れた。9月初め現在、繊維産業の中心地イワノボ州Ива́новская о́бластьの86の繊維産業関連企業のうち、32が操業停止。26が倒産寸前で、完全操業はわずか三社という報告がある。また、原子力産業も悲惨な状況で、ロシア核産業監視機関のユーリー・ビジネフスキー長官は、2月17日オスタンキノОстанкино・テレビで「ロシアの原子力産業は現在破滅的な状況にあり、国の安全を現実に脅かしている。最大の原因は安全規則の違反、放射性物質の絶え間ない盗難、設備の老朽化、スタッフ全員の技術水準の低さだ」とその実情を明らかにした。
*チャンネル1もしくは第1チャンネル(ロシア語: Первый Канал)は、ロシア連邦のテレビ局である。
自動車産業はソ連時代、作ればすべて完売という殿様商売をしていた。注文は何年も先の分まであった。競争がないからモデルチェンジは緩慢、売り手市場だから、あぐらをかいていればよかった。ところが、ソ連解体と貿易の自由化で、ロシアの自動車産業は一気に破産状態に追い込まれた。各共和国の独立による需要減少、インフレによる価格上昇、経済低迷で軍、農場などのお得意さんの注文が激減。そしてデザイン、品質、価格で太刀打ちできない西側からの輸入車流入などの悪条件が、襲いかかったからである。94年上半期の車の生産台数は前年同期比乗用車が77%、トラクターはわずか20%であった。

モスクワのリハチョフ記念自動車工場(ジルЗиЛ)と言えば、かつて政治局員クラスが内外で乗り回し、今でもクレムリンのお偉いさんが使用するハイクラスのステータスシンボル、高級リムジン「ジル」のメーカーとして知られている。しかし、93年6月に民営化され、国からの後押しがなくなって、左前になった。同社は高級車のほかにもトラック、バス、冷蔵庫などを製造してきたが、需要の激しい落ち込みから生産縮小を余儀なくされた。「ジル」の生産は年間15台から25台程度。同じくジルと呼ばれるトラックは93年の21万台に比べて94年上半期だけでわずか3万4000台と大幅に生産を減らした。生産能力は30万台から一割強の稼働率だ。これで経営が成り立つわけがない。ウラジスラブスレフ・ロシア産業企業家同盟副会長を94年5月に会長に迎えて、本格的なリストラを打ち出した。6月にはプラコフ社長が退任した。人員整理も行われたが、低賃金に嫌気がさして12万人の従業員のうち相当数(過去1年で2万人とも)が退職したという。「それにしても、こんな短期間で、これほどの大企業を民営化するなんて、ナンセンスだ」とはウラジスラブレフ氏の弁である(『毎日新聞』9月16日)。

*ジル(ZILまたはZiL, ロシア語: Завод имени Лихачёва (ЗиЛ), ラテン文字転写:Zavod imeni Likhacheva, リハチョフ記念工場の意)は、高級乗用車・トラック・重機を製造していたロシアの大手メーカー。2012年を最後にすべての車両生産が終了した。

エネルギー産業の窮状
エネルギー産業の不振も深刻だ。ロシアではこの数年石油生産の落ち込みが激しく、92年には4億トンの大台を割っている。9月14日のインタファックス通信によれば、94年度の石油生産は企業間債務の増大などから、3億トンの大台を切る見通しである。ソスコベツ第一副首相主催の政府会議で明らかにされたもので、予定された生産量より680万トン少ない2億9190万トンという数字が挙げられた。油井の26%が必要な資材の不足のために生産を停止しているという。一方、石油関連事業の債務は、15兆ルーブル(約6500億円)にも上ることが判明した。
石油産業も青息吐息である。生産は88年の4億2000万トンをピークに93年度は3億2000万トンと急減、94年もさらに減少が見込まれている。石油価格の自由化に伴う高騰で、需要は冷え込む一方だ。300の炭鉱のうち約100は大幅な採算割れだという。このうち42の炭鉱については閉鎖が真剣に検討されている。2月11日の報道の公式データによると、ロシアの炭鉱の67%が赤字経営で、炭鉱機構の15%は1940年代から50年代に生産されたもので、老朽化がひどい。落盤その他の事故で毎年何千人もの労働者が死亡しているが、こうした状況はその後も一向に改善せれていない。
燃料エネルギー産業の窮状について、シャフラニク・ロシア燃料エネルギー相は「燃料エネルギー消費産業による代金の未払い、予算からの割り当て金の支給の遅れ、消費企業側の生産減によるエネルギー需要の低下に起因する」と述べている(2月11日の同省幹部会での発言)。同相によれば、93年1年間だけで燃料エネルギー産業への投資は三分の二近くに減った。
94年から95年にかけての冬はエネルギー危機も予測されている。イタル・タス通信によると、燃料エネルギー省の専門家たちは、冬のため燃料貯蔵の状況も危機的と表現した。前年同期に比べて全国の石油貯蔵量は500万トン少なく、重油は100万トン少ない。とくに深刻なのは、ロシア北西部、極東、極北地方で、例えば沿海地方の火力発電所は必要量の石炭25~30%しか確保していない。チタ州Читинская областьの場合は石炭貯蔵量はゼロに近いという。全体としてロシア78地域のうち61地域で石炭の貯蔵量が前年を下回っている。
10月4日のイタル・タス通信によると、1~8月期のロシアの国内総生産(GDP)は前年同期比17%の減少だった。93年には前年比12%減だから、生産の低下は深刻だ。1~10月期の工業生産は32・4%減という数字もある。なお、ゲラシチェンコ前中央銀行総裁は9月15日、サンクトペテルブルクで開かれた国際銀行家会議で、中央銀行の試算では95年のロシアのGDPは4・7%、工業生産高は15%それぞれ低下する見込みだと報告した。
もっとも、GDPの30%を占めると予測されている「隠れた所得」が当局によって捕捉されていないため、工業生産の公式統計だけでは経済の実態はつかめないとの見方も有力だ。商業・サービス部門では、税金逃れに所得を過少申告しているケースが多いといわれる。しかし、深刻化する工業部門の生産低下や同部門への民間投資の減退は事実であり、楽観は許されない。94年後半、エリツィンは機会あるごとに、「生産低下のプロセスが止まった」としてロシア経済の安定を強調したが、工業生産の落ち込みはわずかに縮小しつつあるものの、生産が増えたわけではない。農工業の生産がマイナスである限りは、経済が安定したとは言えないのではなかろうか。

2 企業間債務と賃金未払い
企業間債務と賃金の膨大な未払い
前節とも関係する企業間債務と賃金支払い遅延について見てみよう。インフレ抑制のところで指摘したが、インフレ率低下にはカラクリがあった。すなわち、物価の高騰を抑えるために、政府は累積する一方の企業間債務を放任し、政府が支払うべき賃金・給与の支払いを遅らせてきたのだ。
94年8月19日の国内支払い・決済制度改善に関する政府委員会の定期会議で、ダーリン統計委員会副議長が行った報告によると、各種未払い総額は7月初め現在で112兆ルーブルに達した。そのうち企業間の不履行額は55兆ルーブル、銀行間の不履行額は12兆ルーブル、連邦予算の不足分は6兆ルーブルに及ぶ。さらに、ソスコベツ副首相が10月18日明らかにしたところによると、企業間債務は9月1日現在で、128兆ルーブルに達した。この企業間不良債務が生産落ち込みの主因ともなっているのは明らかだ。深刻な状況である。
企業間債務が焦げ付くと、企業が従業員への賃金を払えなくなるのは当然である。賃金未払い問題は経済活動の各分野で起きている。ソスコベツ第一副首相が9月21日に政府の未払い賃金に関する特別会議で言明したところによると、政府から従業員の賃金を受け取っていない国営企業は3万2900もあり、未払い賃金総額は9月1日現在で、約4兆ルーブルに達したという。
別の資料もある。国家統計委員会の専門家たちによれば、94年初め現在、工業・建設・農業企業の労賃の未払い分が約3兆5000億ルーブル、年初からこの未払い高は月に約15%ずつ増えている(この数字には国営企業以外もふくまれているようだ)。とりわけ深刻なのは、チュメニ州Тюменская область、クラスノヤルスク地方Красноярский край、チェリャビンスク州Челябинская областьケメロボ州Кемеровская областьТатарстан Республикасыタタールスタン共和国Республика ТатарстанСаха Өрөспүүбүлүкэтэサハ共和国Республика СахаБашҡортостан Республикаһыバシコルトスタン共和国Респу́блика Башкортоста́н、イルクーツク州Иркутская область、サマラ州Самарская областьの企業群。これらの地域では40%以上が国営企業の労働者への未払いであった。企業別には、機械製造、金属加工、非鉄金属、木材加工と製紙パルプの企業、ロシア全体の未払いの半分は、未払い期間が一ヶ月以上ともいわれ、西シベリア、極東、クラスノヤルスク地方、ウラルなどの一部の地域では、企業によっては三、四ヶ月も賃金が未払いとなっていると報告されていた。とりわけ採炭関係者への国家債務額は巨大で、炭坑労働者への93年度の債務は1200億ルーブルに上った。
企業間債務問題は貿易取引にも影響している。ロシア側の注文で日本から品物を取り寄せ、いざ代金決済のとき「売り掛け金がないから払えない。待ってくれ」という。さらに、売り掛け金を滞納している企業は企業で「うちも売り掛け金が入らない」という。どこも金が無くて商売しているのだ。日本側が品物を購入し、代金を支払おうとすると、相手企業は「金を借りているA社とB社に払ってくれ」と頼み込んでくる。日本の商社が銀行の代わりをさせられるはめになるのである。

ストライキの頻発
このような賃金の未払いあるいは遅配は当然、労働争議を巻き起こす。94年の春には各地でスト騒ぎが発生した。ロシア・ヴォルクタВоркута炭鉱(北極圏)では、2月9日に無期限ストに突入した。93年11月と12月の賃金未払いが原因だった。2月11日に「べチョルシャフトストロイ(べチョラ炭田炭鉱建設)の鉱山労働者独立労組によると、「ロスウーゴリ(ロシア石炭)会社から受け取った8億ルーブルは、93年11月分の賃金として労働者一人に10万ルーブルを支払うとなくなってしまったという。ゴルバチョフ時代の91年春の炭鉱スト騒ぎの際に、窮地に立ったゴルバチョフに代わって、エリツィンが現地に飛んで、賃上げを約束してストを沈静化させた。そのころから炭坑労働者は平均賃金をはるかに上回る高額賃金を支給されてきた。しかし、炭坑労働者のストは94年の秋になっても間欠的に続いている。
もちろん、炭鉱労働者以外も、ペレストロイカによって初めて与えられたスト権を行使した。2月14日のイタル・タス通信によると、コラ半島Кольский полуостров(ムルマンスク州Мурманская областьの一部)のほとんどすべての建設トラストがストライキに突入。当時、建設労働者はすでに数ヶ月にわたって賃金を支給されていなかった。ロシア最大の石油会社の一つ「エコス」(西シベリア・チュメニ州)の支配人評議会は、2月14日石油採掘産業の財政的危機の早急な打開を政府に要求した。チュメニ州のニジネワルトフスクНижневартовскの全企業の労働集団もこの時期、スト突入の構えを見せた。ケメロボ州のプロコピエフスクПрокопьевск(西シベリアのクズネツク炭田Кузнецкий угольный бассейнの中心地の一つ)の炭坑労働者22人は慢性的な賃金遅配に抗議して、2月11日無期限のハンストへ入ると宣言した。
現金で賃金の払えない企業のなかには特別クーポンを発給するところまで出てきた。2月19日イタル・タス通信によると、株式会社「ウラル・トラクター」の労使は今後、賃金を特別のクーポン券で支給することを取り決めたという。クーポン券は官庁経営の商店や食堂でのみ使用できるものである。この臨時措置は賃金に支払う現金不足の問題解消のために取られた。
給与未払い問題はマスコミにまで波及している。ロシア通信企業労組は2月9日、国営テレビ二社の放送業務を停止し、朝夕のニュース番組しか保証しないことを決定した。ロシア・テレビとオスタンキノ・テレビは通信企業に対して800億ルーブルの未払い金を抱えていたのである。通信企業従業員は過去数ヶ月にわたって賃金を受け取っていなかった。また、各州の放送労働者への賃金も中央テレビ会社から支払われていなかった。
大学の教官の場合も、給与の未払いや遅延は当たり前で、ついに大学教職員までもがポストに立ち上がっている。彼らは94年2月15日に「全ロシア抗議行動」を行った。ロシアの大学の財政状況に対する不満が爆発したのだ。56地域で24時間ストが打たれ、19の州の大学が二時間ストを決行した。このとき全部で180の大学がストに参加したという。教官たちは国家債務の支払いと四半期ごとに給料を物価にスライドさせることを要求した。また、ウラルのチェリャビンスク州Челябинская областьでは、ストの際に「大統領と政府の不信任」をかかげる政治声明を発表した。モスクワの場合、2月15日に抗議ストの形をとった大学教職員集会が開かれ、ほとんどの大学代表が参加した。この時点で、大学教官の月給は、6万5000ルーブルにすぎなかった。当時の平均賃金は16万ルーブルだから、その半分以下の水準である。国家から財政支給が滞り、大学が光熱費その他の公共サービス料金を支払えない状態は今なお続いている。「ロシア学長連盟」評議会会議が2月10日モスクワで開催されたが、議長のウラジミール・ビノグラードフ氏は報告の中で「大学部門に対するロシア財務省の債務は2000億ルーブルに上っている」と述べた。
*Vladimir Viktorovich Vinogradov (Russian Владимир Викторович Виноградов) (19 September 1955 in Ufa — 29 June 2008 in Moscow) was the owner and president of Inkombank, one of the largest banks in 90s' Russia.
ノボシビルスクНовосибирскのような軍産複合体の大中心地でも、状況は逼迫した。同地の大企業の再編成は極めて緩慢で、従業員は最低水準の賃金しかもらえず、強制的休暇を強いられたり、何ヶ月分も賃金未払いの状態が続いたのである。研究所で働く科学者たちも給与を十分与えられず、ストライキに走っている。

①軍産複合体(ぐんさんふくごうたいВое́нно-промы́шленный ко́мплекс (ВПК)Military-industrial complex, MIC)とは、軍需産業を中心とした私企業と軍隊、および政府機関が形成する政治的・経済的・軍事的な勢力の連合体を指す概念である②↑ニコライ二世とニコライ大公です。
軍経済の窮状
軍の将兵の給与遅延も大きな問題だ。ロシア国防省軍事予算財務総局ワシリー・ボロビヨフ総局長(大将)は94年12月17日の記者会見で、ロシア中央銀行の活動を「無気力で無定見」と決めつけて、「送金が絶えず遅れているために、軍の将校たちは2~3ヶ月も俸給を受け取っていない。陸海軍の維持のためには1兆3000億ルーブルが必要なのに、国防省は、今年1月の8240億ルーブルしか受け取っていない」と憤懣やる方ない面持ちだった。軍の兵器機材生産・納入企業への債務は、2兆ルーブルによることを同総務局局長は明らかにした。
*ロシア国防省(ロシアこくぼうしょう、ロシア語: Министерство обороны Российской Федерации、略称:Минобороны、МО、英語: Ministry of Defence of the Russian Federation)は、ロシア連邦の国防・軍事を統括する官庁。ロシア連邦軍を傘下に収める。
国防省機関誌『赤い星Кра́сная звезда́』も、しばしばこの給与未払い問題を大きく取り上げている。例えば、8月25日付けの同紙は、一面の大きな記事のなかで、陸海軍将兵は3~4ヶ月前からの給与の支払いを受けていないと述べ、これでどうして家族を養えようかと訴えた。そして、このまま放置すると、社会的な爆発もあり得るとの警告を発しているのだ。同月30日にも、これまた一面で、国内経済問題を取り上げ、四日前に太平洋艦隊司令部で、軍艦修理工場の労働者が賃金未払いに対する抗議デモを行ったことを報じた。
①Krasnaya Zvezda (Russian: Кра́сная звезда́, literally "Red Star") is the official newspaper of the Soviet and later Russian Ministry of Defence. Today its official designation is "Central Organ of the Russian Ministry of Defence."②太平洋艦隊(たいへいようかんたい、ロシア語:Тихоокеанский Флот、略称:ТОФThe Pacific Fleetは、太平洋上での作戦を目的としたВоенно-морской флот СССРソ連海軍ВМФВоенно-морской флотロシア海軍ВМФの艦隊である。
ついには軍が電気代を滞納したため、電力供給を止められる騒ぎまで起きた。イタル・タス通信が9月21日報じたところによると、モスクワ郊外にある戦略核ロケット軍の長距離ロケット部隊中央司令部では同日、一時、電力供給がストップしたという。ただし、この時は即時に非常用の電源に切り替えたため「重大な問題は起きなかった」。電力会社は、「国防省は1月以来料金を払っておらず、何回督足しても返事がなかった」ことから、やむを得ずこのような措置をとったのだ、と説明した。軍の滞納金は同司令部で15億ルーブル(約6000万円)、モスクワ州の他の国防省関係施設全体で600億ルーブル(約24億円)によることも明らかにされた。『赤い星』紙は23日付けで、「このようなことはわが国、わが軍の歴史にかつてなかった」と述べ、「すでにわれわれが確認していることだが、粗野な資本主義のもとでは資本がすべてを支配しているかに思える」と論評した。

*Agriculture in RussiaСельское хозяйство России is an important part of the economy of the Russian Federation. The agricultural sector survived a severe transition decline in the early 1990s as it struggled to transform from a command economy to a market-oriented system. Following the breakup of the Soviet Union in 1991, large collective and state farms – the backbone of Soviet agriculture – had to contend with the sudden loss of state-guaranteed marketing and supply channels and a changing legal environment that created pressure for reorganization and restructuring. In less than ten years, livestock inventories declined by half, pulling down demand for feed grains, and the area planted to grains dropped by 25%.
3 見捨てられた農民
ロシア農業の危機
ロシアの資本主義化に見る場合には、派手な外国製品の広告に囲まれたモスクワなどの都会の一見華やかな外見だけにとらわれてはならない。大都会のうわべだけの消費ブームを見て、ロシアの経済を論ずるのは誤りである。広大なロシアのキーポイントは、やはり農業であろう。農業政策がある程度うまくいって農業が安定しないかぎり、ロシアの資本主義化は本物とは言えないのではないだろうか。
94年8月25日、モスクワのゴーリキー公園でロシア農民大会が開催された。参加者たちはロシアの農業を崩壊させた責任者としてエリツィンと政府の退陣を強く要求した。イタル・タス通信によると、大会開催の提唱者ミハイル・ラプシン農業党党首は、挨拶のなかで改革実施の首尾一貫しない間違った政策の結果、ロシア農業は破滅の瀬戸際に追い込まれており、農村は死滅の運命にあると強調した。

①ミハイル・イワノヴィチ・ラプシン(ロシア語: Михаил Иванович Лапшин、ラテン文字転写の例:Mikhail Ivanovich Lapshin、1934年9月1日 - 2006年6月17日)は、ロシアの政治家。ロシア農業党党首、アルタイ共和国政府議長(第3代、元首格に相当)などを歴任した。経済学博士候補。ロシア人②The Peasant Party of Russiaロシア農民党(KPR; Russian: Крестьянская партия России; КПР; Krestyanskaya partiya Rossii, KPR) was a minor pro-reform party active in Russia during the 1990s. It was led by Yuri Chernichenko. It eventually merged with like-minded groups to form the Republican Party of Russia.
この大会は「ロシア農業の犯罪的破壊」に抗議するために開いたのだ、と大会開催者は言う。犯罪的破壊とはオーバーだが、1920年代にロシア経済をマヒさせた「大危機」と同じ苦境にあるというのが農民たちの主張である。当時、工業製品の価格が農産物価格をはるかに上回り、農民は農作業に必要な機械類、肥料や燃料などの資材を買うことができなかった。今日のロシア農民はそのときと全く同じ状況に置かれていると彼らは言う。
6月28日のイタル・タス通信によると、上院農業政策委員会は、ロシア農工コンプレックスの94年の現状を「危機的」と表現した。農業分野は国内総生産の三分の一、基本ファンドの四分の一を形成し、消費物資の三分の二を生産している。したがって、その不振が経済全体に与える影響は極めて大きい。同委員会の観測では、94年の農業生産は86~90年水準に比べて40~50%にとどまる見込みだという。90年から93年にかけて農産物の価格は90倍も値上がりしたが、一方、農業関連消費物資、つまり農作業に必要な資材の値上がりは何と500倍である。
5月の時点でコルホーズ農民の給料は8万8000ルーブル(約4600円)と全経済部門の労働者のうち最低であった。9月の段階でも、農業労働者の賃金は平均賃金の半分以下で全業種の最低といわれる。5年前には小麦一ポンドで二倍の重さのディーゼルの燃料が買えたが、94年現在、同量の燃料を買うには以前の九倍の小麦が必要である。91年、穀物価格は肥料の二倍だった。今は逆に、肥料の穀物価格の八倍もしている(『インターナショナル・ヘラルド・トリビューン』紙9月20日付け)。86年から93年までに、農業生産物販売価格が150倍上がったのに対して、農業投入財の供給価格はこれを大幅に上回る495倍だったという数字もある。
とにかく全国的に農業労働者は苦境に立たされているのだ。『モスクワ・ニュース』紙94年第二号によれば、ロシアの農業物の国内価格は国際価格とされ93年の時点で完全に上回ってしまった。ロシア経済省の93年度経済報告によると、基礎食品価格がいずれも国際価格を超えた。例えば砂糖1トン650ドル(国際価格350ドル)、牛肉1トン1300ドル(同480ドル)、小麦粉280ドル(同215ドル)といった数字がこれを示している。この結果、国産食料品に対する需要は減少、価格上昇にもかかわらず、農業生産は縮小するという矛盾した結果を生んだ。経済省はこの原因として、加工工業の高価格、非効率、生産水準維持勢力の不足などを挙げた。
前述のように、ルーブルの市場操作により、米ドルなど外貨に対して実力よりも高くルーブル相場が維持されたため、商店には高品質のフランス、ドイツ、デンマーク製の食品があふれることになった。また、加工業者も安い外国の肉を購入する。「すべての農産物輸入に鉄のカーテンを降ろすしかない」との声も上がっている。
経済省は、94年度の農業生産は前年比57%低下し、農業投資は25%減少すると予測した。さらに、農村での各種の資材不足は深刻だ。国や加工業者が農村への負債を返却しないためである。農村は高品質の種畜、種を購入できないうえに、飼畜、栽培も困難になって、種畜をそのまま肉として市場に出荷している。化学肥料の生産能力は2000万トンだが、93年度需要は830万~850万トン、94年度はさらに需要減少が見込まれる。化学肥料工場の稼働率はすでに37%低下、一部工場は操業停止または他の化学品生産に転換した。農業機械生産も94年度は12~13%減少の見込みである。これは農工業複合体の機械工業への膨大な債務による。それは93年度に1900億ルーブルに達した。このためボルゴグラードВолгоград(旧ツァリーツィンЦарицын(1925年まで)/スターリングラードСталинград(61年まで)やリペツクЛи́пецкなどの巨大トラクター工場が操業停止に追い込まれた。農民が農業機械を買わないのは機械価格の高騰のためである。

苦しい個人農
ペレストロイカがピークの1989年、ソ連に個人農が登場した。法制化されたのは91年、ロシア農業改革の希望の星のように見られてきた個人農だが、その実情は悲惨である。彼らは銀行融資の金利高や、コルホーズからの脱退の法的メカニズムの不備なども手伝って、経営が成り立たず、その数は減少傾向にある。ロシア自営農・農業協同組合連盟のぺシマチコフ総裁は6月30日インタファックス通信とのインタビューで、個人農場の数が94年になって27万から25万5000に減ったことを明らかにした。もっとも、94年7月1日現在、28万5800人で、資材・機械確保の困難と資金不足により、1~6月間に1万2100の個人農経営が閉鎖されたという統計もある。いずれにせよ、個人農の数は少しずつ減りつつある。ロシアの個人農の農業用地に占める割合は5・2%、耕地の6・1%で、ロシア農業総生産(93年)に占める割合はわずか2%にすぎない。
生産量の激しい落込み
ロシア連邦統計局によれば、農業生産の低下傾向が定着するようになり、94年上半期の食肉およびその副産物の生産は前年同期比24%の減少となった。全乳製品、植物油はそれぞれ18%、29%の減少、畜産品の買い付け量も大幅に減った。また、放射能物質で汚染された農畜産物は国民の健康にとって深刻な脅威となっているが、94年上半期に農業総生産の19%(牛乳は21%)が放射能汚染地域から生産されていると指摘されている。
農業用機械の製造工場にも問題があり、2月9日のイタル・タス通信によると、農業機械製造企業合同「ロスセリホズマン」(ロストフРосто́в農業機械製造)では、過去二ヶ月間に二度もメーンコンベアが運転停止した。数百の企業、組織が「ロスセリホズマン」に数十億ルーブルの代金を支払わないため、「ロスセリホズマン」は電気料支払いの余裕がなく、送電を止められたのである。なお、同様の事態はノガチェスカスク電気機関車製造工場、ドネツク掘削機製造工場など機械製作企業でも発生している。
また、9月20日のイタル・タス通信によると、ロシア最大の農業地域である西シベリアのアルタイ地方Алтайский край20日現在、穀物は播種面積のわずか50%しか収穫されていない。50万ヘクタール分の穀物は、夏の日照りで全滅し、秋の豪雨のために収穫された一部が腐り始めたという。こうした危機的な状況の主因は収穫作業への資金提供が不十分なこと、政府が約束した信用供与の遅れなどであり、同地方の行政副長官は「中央政府が速やかに措置を講じないと、アルタイ地方の農業部門は完全に破滅するであろう」と警告した。
ロシア農業はかなり天候に左右される。霜の被害によって、94年の収穫はこの30年間で最悪の状況を迎えるであろうと前記『インタナショナル・ヘラルド・トリビューン』紙は伝えた。農業省は12月11日、94年の穀物生産(暫定数字)が前年比15%減の約8400万トンになったと発表した。これは1981年以来最低の水準である。エリツィン政権は9000万トンから1億トンの間と前年並みの収穫を予想していた。国内の穀物需要は年間1億2000万から3000万トンだから、不足分は輸入に頼ることになる。いずれにせよ、94年のロシア農業の総生産は前年に比べて6%の減少に終わる見込みである(11月2日のビジネス・タスによる)。

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